2017年6月1日

17年春 娯楽の足あと


適当に書き散らし。
6月とか夏のような気がしますが、17年7月に区切りを春夏秋冬に改めたので、便宜上、6月は春扱いにしておきます。

5月
◎BattleBrother
◎UGCW(ver0.7)など

映画もちょい見る。

6月
×Domina
○Particle Fleet Emergence
◎Factorio(ver0.15)
○修羅場回避



ゲーム


Battle Brothers (87点)



傭兵団経営ゲーム。ランダムに生成された中世ファンタジー世界を舞台に、オリジナルの傭兵団を育て上げていく。メインは戦闘。

傭兵団は人員から装備まで自由に編成できるので、どれが良いか試行錯誤できるのが楽しい。

その一つが、戦闘に用いる武器。BBでは剣、槍、斧、ハンマー、フレイル、メイス…など様々な種類の武器が登場すし、それぞれアーマーへの効果が違ったり、通常攻撃も含めて武器毎に使えるスキルが異なり、特徴がある。その中からどれをチョイスして戦うか、というのが悩みどころで楽しい。それも、「これさえ使っていればよい」という一強の選択が存在せず、進行状況や敵の種類によって変化するのが面白い。

例えば、自分のプレイでは序盤は槍ばかりを使っていた。なぜなら、槍は「スピアウォール(槍衾)」というスキルが使えるからだ。このスキルを使用中は、自分の隣接マスに近づいてきた敵に対して、近づいてきた瞬間に自動的に攻撃を行い、ヒットするとノックバックして元のマスに戻すことができる。序盤の敵は何も考えずに突っ込んでくる敵が多いので、自分の傭兵に槍を持たせてスピアウォールを使うだけで、相手が突っ込んできて勝手に負傷して難なく勝利することができる。

しかし、序盤を過ぎるとこれも通用しなくなる。ただでさえ回避率の高い盾を持った敵が回避率を高める「シールドウォール」のスキルを使って近づいてくると、スピアウォールを使っていても隣接されてしまう。そうすると、スキルの効果がなくなり、槍の攻撃力は低いので一気に不利になる。また、味方がスピアウォールを使うと間接武器に持ち替える敵が来て、ダメになる。

それで、今度は剣などを使いはじめるのだが、そうすると今度はアーマー値の高い敵が登場するようになって、剣だけでは通用しなくなる…といった具合に、使う武器を変えていかなければならないし、どれが効果があるのか楽しみながらチャレンジできるので良い。

これは武器だけではなく、防具にしても、人員にしてもそうで、やっているうちにどっぷりハマってしまった。

また、戦闘演出の芸が細かいのが良い。矢を打てば矢がとび、怪我をすればキャラも怪我をし、斬れば武器には血のりがつき、防具が破損すれば防具がボロボロになり、敵を倒せば死体がその場に転がる。全身鎧の古代アンデットの顔防具が破損して骸骨が姿を現したときや、死体っぽくないアンデットのネクロサーヴァントが怪我をしてアンデットらしくなったとき、貴族の戦争で兵隊の死体があちこちに転がったときなど、この演出によって感動する場面がかなりあった。

敢えて難点を挙げるとすれば、敵の行動待ちの時間が結構かかることか。敵味方の人数が増えれば増えるほど、行動待ちの時間が増えていき、じれったくなる。あんまりにも時間がかかりすぎるし、クエストを含めてランダム生成で終わりがないので、事実上のエンドコンテンツである「ブラック・モノリス」の攻略を持って、ひとまずプレイ終了とした。

Ultimate General : Civil war (ver0.7  90点)




軍団編成ゲーム。アメリカを舞台に軍団を編成しながら、史実に沿って南北戦争(Civil War)を戦う。メインは戦闘。

前作の「Ultimate General : Gettysburg」では戦闘だけだったが、今回はそれがブラッシュアップされたうえで、キャンペーンモードがつき、戦闘に参加させる軍団を自由に編成できるようになった。

基本は楽しいRTS。グラフィックも雰囲気がある、AIも優秀。数十時間プレイした。

不満があるとすれば、キャンペーンモードの難易度設定が不自然で虚無感が湧いてくるものであること。自軍の兵数、装備を充実させればさせるほど、敵軍の兵数、装備も充実してくるシステムになっているので、それに気づいてしまうと兵数、装備を充実させることに虚無感を感じてしまう(自軍を充実させるほど不利になるのなら、自軍を成長させる喜びはどこにある?)。

まぁ、そこらへんは改良を加えられていっているし、事実、「敵の兵数固定モード」が追加されたり、そうかと思えば現行のver0.9ではその機能が跡形もなく消える代わりに、難易度設計がガラリと変わっていたりと変化していっているので、現時点では評価を定められないな~、と思う。

早期アクセスが終わって仕様が固まったら、またプレイしよう。

Domina (55点)




剣闘士を育成するゲーム、ということで「Indie Pick」で見かけたときは期待大だったのですが、実際は残念ゲーでした。全体的に完成度が低いです。以下、ダメなところを挙げていきます。

第一に、育成要素の薄さ。育成するゲーム、とはいうのは名ばかりで実際は自動でトレーニングさせるだけで育成要素がかなり薄い。

第二に、難易度設定のおかしさ。いくら育成して金をかけたとしてもキャラが戦闘で負けるとそのキャラは全ロストなのだが、運次第でポンポン死ぬし、それを取り戻すこともできない。また、イベントで不意にロストすることもあり、初見プレイではライオンが暴れて剣闘士をロスト、進行できなくなった。それに加えて、自動セーブ。う~ん、そういうのは「楽しい難しさ」とは違いますよ。

第三に、作業の多さ。このゲームでは、剣闘士に武器や防具をつけさせることができるのだが、装備部位がやたらと多く、しかも一つ一つアップグレードしていかなければいけない。例えば、ここに初期状態の素っ裸の男がいる。これを最低限使えるように装備を充実させるにはどれだけのクリックが必要か、まず武器をアップグレードして1回クリック、盾をアップグレードするのに数回クリック、次に左足を数回クリック、次に右足数回、次に腰に数回、次に胸に数回、次に左肩、次に右肩…とこんな始末である。馬鹿じゃないだろうか?

素人でも「わざわざ一回ずつ装備をアップグレードしていくのではなく、リスト化してそこから選ばせる」、「奴隷の購入時に自動で一定までアップグレードできるように設定機能をつける」とか、いろいろな改善案が浮かんでくるが、それをしていない。ダメだ、こりゃ。

第四に、バグの多さ。AIに任せていても多人数対多人数で手動モードに切り替わる、リスキルなどなど。

全体的にツメが甘すぎる。ゲーム性が薄いし、やる気もない。値段相応と言ってしまえばそれまでだが、「早期アクセス」でもないのに、なぜこんなに完成度が低いのだろうか?Steamでは「非常に好評」になっているし、日本語では評価するレビューしか見当たらないが、何でこんなに高評価なのか、自分にはよく分からなかった。


Particle Fleet Emergence (73点)



「Knuckle Cracker」の新作。

「Knuckle Cracker」の新作、といっても一部にしか伝わらないかもしれないが、洪水のように押し寄せてくるクリーパーを地道に押しのけるタワーディフェンスゲーム、「Creeper World」の開発元の新作、といったら伝わる人には伝わるだろう。

今作も基本は「Creeper World」。つまり、固定の敵シンボルから無限湧きしてくる敵を抑え込みつつ、敵シンボルに接近して制圧、そんな感じで湧き地点をどんどん制圧していって全部制圧すればクリアとなる。

ただ、これまでの作品と違う点がある。それは、今回配置するのは「艦船」だということ。以前までは、速射性に優れた機関銃や迫撃砲などのタレットを配置していったが、今回の場合は艦船。この艦船には、敵シンボル破壊用の武器などのいろいろな武器が一つにまとめられており、そのパッケージとしてまとめられた船を配置して戦う。

なお、この艦船にはエディット機能が付いており、シナリオ前にプレイヤーがどんな武器を積みどんな形状の船を配置させられるようにするかエディットすることもできるらしい(自分は試してない)

また、エリアが地上と宇宙に分かれている。地上はこれまでと同じくエネルギー収入の元となる地点で、タレットを作って配置すると、自動で今までの敵だったクリーパーを思わせる青い液が漏れだしていって、地上を青に染めてくれる。染まったところは、自動でエネルギーの収入源となる。「Creeper World」では、エネルギーを収穫するためにそれ用の丸い何かを配置しなければいけなかったので、自動でその作業をしてくれるという点は良い。ただし、この地上エリアでは艦船は行動できない。

戦闘のメインとなるのは、地上以外のエリア、宇宙エリアだ。ここは全くエネルギーを生まないものの艦船を配置できるので、ここを進んでいくことになる。敵も基本的にここを進んでくる。

他にも、いろいろな違いはあるものの、プレイ感覚などはよくもわるくも「Creeper World」。マンネリと言えばマンネリだし、変わらない良さがあると言えばそうだ。

個人的には久しぶりだったので、それなりに楽しめたかな。


Factorio ver0.15(80点)




原子炉と関連要素がver0.15で追加されたということで、Factorioを再プレイ。セーブデータを見ると以前プレイしたのは「Ver0.9」のときで、もう一年以上前になるのだろうか?そのころと比べると、Factorioも進歩していたらしく、いろいろと様変わりしていた。

多くある変更点のなかで、「鉄道のひきやすさ」が大きく改善されていたところは感心した。自分がプレイしたバージョンでは、鉄道は一つ一つ敷くことを強いられていたが、現バージョンでは始点と終点をクリックしてスパッと引くことができる。また、鉄道のカーブをつなげるのが以前は大変で、知らず知らずのうちにつながっていなかったりした覚えがあるが、そこも一つ一つ引かなくてもよくなったことで改善されていた。

さて、原子炉については、「新たに要素が追加された」という感じで、単純に奥深さがプラスされている。一からウラン鉱石を精製して燃料棒にするまでの生産ラインを作らなければいけない大変さと楽しさがあり、また原子炉、遠心分離器やそれを機能させるためのモジュールが高コストで完全に終盤戦以降向けだが、完成すればその発電力は膨大。その発電力の膨大さが「気づいたら電力が足りなくなっていた」という、終盤以降によくありがちなミス、そしてそれに伴う間に合わせの増設作業を大きく減らしてくれるため、終盤の発電としてありがたい。

まぁ、そんなこんなで原子炉作成&ロケット打ち上げ自動化まで延々と工場作っちゃいました。スクショの通り、消費した時間は数十時間。やはり時間泥棒でした。


スマホゲー


フラれ回避(70点)



G.Gearのスマホゲーで、不倫する若い男が四苦八苦するシリーズの最新作。
主人公の男はニ股(ゲーム内でカノ友と新たに浮気するので計三股)しているダメ男が、その三股状態を継続するために奮闘するストーリー。なんでこんな男がモテるんだろうな、と思うが、現実でもそういうやつほどモテるよね。

プレイは選択肢を選んでいくシンプルなもので○。単純ではあるものの、一プレイがパパっと数十秒から数分で終わるようになっているため、さくっとプレイできる。そのため、END回収もあまり煩わしくない。

また、ENDやそこに至るまでの男の「苦しい言い訳」も見ていておもしろく、コミカルで良い。選択肢次第でとんでもないENDになったり、はたまた無事に「フラれ回避」できたりする。

絵も○。名前は知らないがいつもの人で、徐々に画力が向上していっており、このゲームの女の子もそこそこかわいい。こんなかわいい彼女がいたら、俺は絶対浮気しないね(そして、あちらに男が出来て、すぐに捨てられるね)。

一応、課金要素があるが、無課金でも快適。課金することで直前の選択肢まですぐに戻すことができ、END回収がよりスムーズになるが、無課金でも一話一話がそれほど長くないので十分。課金は、お布施として課金したい人向けだと思う。

全体としては、サクッとコミカルな小劇を楽しめるスマホゲーらしい良作。シリーズはこれからも続くだろうから、次作もぜひプレイしたいと思った。







エロゲー


妻みぐい 3(71点)


ながーい間、コツコツとプレイしたり、しなかったりで、すべてをプレイし終わったのは4月中旬になってしまった。そもそも、一番興味があったのがヒロインの一人とショタの「おねショタNTR」で、そこから一通りNTRを見たら満足してしまって、なかなか先に進まなかった。特に、メインヒロインのみゆりにそこまで惹かれず、彼女の純愛ルートは別にどうでもいいという感じで、そもそも、NTRゲーで純愛ルートなんかどうでもいいという感じで、そうやってメインの純愛ルートが積み残されていた。

そんな積み残しの純愛ルートだが、さよこの純愛ルートが予想に反して倫理観が崩壊していて、なかなか愉快だった。さよこは自分以外のヒロインの主人公への思いに気づいていて、彼女たちの思いをかなえてあげるために主人公に彼女たちを孕ませることを許可する。その後、主人公の子を孕んだ人妻、同じく主人公の子を孕んだ高校生を自分のバーの従業員として雇い、主人公のためのハーレムを作ってEND、というのがさよこEND。義弟の子を孕んだことで夫を捨てて妊婦のまま働く人妻、父親を隠す妊婦の高校生、もちろん孕んでいるバーのママ、が並ぶスリーショットは狂っているとしか言いようがなかった。

妻みぐいには他にも狂っているところがある。「神野家の人間は惚れた人の精子でしか孕まない」だったり「母親を孕ませてもらうために、パパとセックスする」などなど。それらのものは、何とかエロに持っていくために生まれた狂いで、まぁ狂っているには狂ってるが、その狂いがおもしろかったりした。それが「エロゲ的リアリティ」で、メタに楽しめば笑える。

エンドを見るための作業が単調で退屈だったりしたが、全体的には、エロくてよかったんじゃないでしょうか。


映画



切腹(80点)



この映画を初めて見たのは何年前だったか。初見でたいへん感銘を受けた映画だったことを、覚えている。

4月になってこの映画を再び見たのは意外と軽薄な理由で、Youtubeで「Samurai movie top10」というようなタイトルの動画を見たことがきっかけだった。その動画の冒頭を見て、「モノクロの映画で、時代劇で、切腹モノの傑作映画を何年前か前に見たな」と微かに思い出し、気になりながらその動画を見続けていたら、その動画で「切腹」(海外では、Hara-kiri)が紹介され、ああこれのことだと思い出し、再び見てみることにしたのである。

物語の核心となるのは津雲半四郎が隠している事実で、すでに一度視聴済みで物語の「ネタ」は割れてしまっていて、再度の視聴に真実を知った時の衝撃はなかったが、なかなかどうして、それを知っていてもおもしろい。千々岩求女の竹光(竹の刀)での切腹シーンはふたたび見ても生々しいし、浪人となった津雲半四郎の、冒頭での白々しさが可笑しく感じられる。

また、津雲半四郎役の仲代達矢の演技が、やはり素晴らしい。語りの堂々たるや。冒頭での白々しさや。回想の正気であった時と浪人として勘解由と相対している時の落差も、非常な演技力を感じた。

少しだけ気になった点は、当時の「時代劇的演出」が、現代においては少しだけ滑稽なこと。例えば、津雲半四郎が刀を振るうときにたまに両腕をX字にクロスした体勢をとるのは、剣法の使い手と見せるための昔なりの演出なのだろうが、現代の目線で見ると、ちょっとだけおふざけっぽさが出ている。

なお、見せ場となる一対一の切りあいのシーンだが、あれはリアリティにこだわって真剣で演じていると聞いた。太刀の接触を恐れている感じがあるのも、真剣だからだろう。そういうところにも、時代を感じるね。

全体としては、求女の切腹シーンをはじめとして、やはり心を揺さぶるものがある映画だった。


乱(74点)




黒沢明(黒澤の方が正しいだろうが、新字体の表記でいく)が監督した最後の時代劇として知られる作品。切腹でモノクロ映画を見たついでに、と視聴した。

黒沢明の映画は、もはや現代では「教養」と言える。これは良い意味でも、また悪い意味でもだ。良い意味では、黒沢映画は日本および世界の映画史に対する貢献によって高く評価され、その映画には権威があり、ハイソサエティで文化的な人間なら観ていて当然、という雰囲気が漂っていること。

悪い意味では、現実的には娯楽作品としては古く、ただ文化的な人間たちが奇特な精神で視聴するのみで、若者にとっては、基本的に興味の範囲外であるということ。若者の私などにとっては、やはり古い印象が勝り、どうにも手を出さないでいた。

しかし、『切腹』という古い傑作を見た影響で、古い映画に対する心理的なハードルが下がり、黒沢映画でもこの機に観てみよう、とそう思った。特に『乱』はカラーなこともあって、古さも感じにくいだろう。

さて、視聴前に自分が知っていたのは、この映画が予算を惜しげもなく使い作られたということだ。そのため、このためだけに何億もかけて作った城を、一度の撮影のために惜しげもなく燃やした、というエピソードをいつぞやテレビ番組で見て知っていた。

そのことを知っていたからか、中盤ぐらいで秀虎の城が燃えるシーンになったとき、非常に驚いた。てっきり、これぐらい贅沢なシーンは、クライマックスに大トリで使われるものとばかり思っていたが、こんなに早く城の炎上シーンが終わってしまうとは。

しかし、驚いたものの、視聴を続けるとこのぐらいの炎上シーンはまだ序の口だったことが、映画全体の豪華さから察せられる。各城はこのために、崩壊した鶴丸の城もこのためだけに作ったのだろう。そして、合戦シーンの人数の多さ、渡河シーンの豪華さ。その他、小物の豪華さ。きわめて豪華な映画だった。

特に心揺さぶられるのが、渡河シーンだ。三郎率いる騎馬隊が、騎乗のまま川を颯爽と渡っていく。いや~、いいね!

また、やはり仲代達矢の演技が素晴らしかった。威厳ある父上から、耄碌した老人、そして、認知症同然の老人へ。化粧や衣装の効果もあるが、演技で一人物が一変していく。それは流石だと感じた。話のストーリーから言っても、この人がまさに主役であり、主役に恥じない演技だった。

その反面、映画の欠点として、ところどころに演出の冗長さを感じた。特に、次郎と三郎の部下の軍が戦うシーンで、騎馬兵が鉄砲に撃たれて落馬する様子を長々と見せるのは、くどいの一言だ。上手く落馬する技術は高等だというのは伝わるので、最初みたときに落ちるスタントマンはすごいなぁ、とは思った。

しかし、さすがにやりすぎだ。何度か見れば飽きるものを、一度目の突撃と二度目の突撃で使いまわし、何回も何回も見せる。この他に落城シーンでもそうだったが、演出のくどさが気になった。

くどさを感じた根本には、現代の映画と昔の日本映画の「リズム感」の違いがあるのだろう。現代の映画は、特にハリウッド映画では、映画全体が二時間の尺に収まるように、とにかくスパッスパッとシーンを切り替えていく。そして、現代の視聴者である自分は、これに慣れ切っている。

一方で、『乱』にはそうしたリズム感が乏しい。映画全体の尺も三時間を超えるほどだ。だから、自分は冗長さを感じた。むろん、長回しが効果的に働いていたシーンもあるが、そうでないところはやたらと気になってしまう。ということで、退屈に感じた点もあった。

とはいえまぁ、そういうシーンに若干の退屈さを感じながらも、この映画特有の豪華さに魅せられ、役者の演技も堪能したので、全体としては楽しめた。

蜘蛛巣城(65点)



『リア王』ベースの黒沢作品を見たので、今度は『マクベス』ベースの黒沢作品を観ることにした。

気になるのは、やはり「リズム感」。やはり一部の演出が長回しで、退屈だ。蜘蛛巣の森で迷っている、出てから霧のなかで走るシーンは、迷いを観客に感じさせるためであろうか、長まわしに感じた。蜘蛛巣城の見どころである、あの有名な実際の矢を使った主人公が矢で撃たれるシーンも、しつこく感じた。

加えて、前情報などによって、「話のオチ」が見えていたことも問題だったのかもしれない。いやいや、老婆の「予言」の時点で、だいたいどういう方向に転ぶのか予想がついたし、

一方で、映画全体に独特の美が漂っている。特に、三船をはじめとする登場人物の甲冑姿はやたらと格好良い。物の怪の老婆の奇怪さ、狂った主人公の妻なども独特の美がある。主に楽しみどころはそこかね。『乱』でカラーの甲冑姿を見、『蜘蛛巣城』でモノクロの甲冑姿を見たが、モノクロの甲冑姿の方が美しい。重厚さが出る。(というより、『乱』がやたらとカラフルだっただけかもしれない)

乱からの連続視聴(だった気がする)ので、蜘蛛巣城を観たときには疲れてたのか、くどさが乱以上に気になった。視聴で感じた満足度は、『切腹』『乱』よりだいぶ低め。






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